毎日遊びに来る野良

正式な家族ではないが、僕の家には毎日遊びに来る黒猫がいる。
遊びに来るので飼い猫ではない。
この猫、近所の３、４軒を渡り歩いている野良なのだ。
いわば共同飼育猫。

確認したことはないが、それぞれの家で違う名前で呼ばれているらしい。
我が家ではこの猫をオロクと呼んでいる。

黒猫のクロを逆さから読んだのではない、以前飼っていた猫がハッチ（８）、妻の妹の家の猫がナナミ（７）なのでその下の数字でロク（６）、オロクと呼んでいる。

まあ、本人（本猫）はどんな呼ばれ方をされようがご飯さえもらえれば満足なようだが。

彼女（メスです）の好物はチーズ。
それも銘柄を指定している。
あるメーカのチーズだけしか食べない。

その指定のチーズは近くのスーパーで取り扱っていないので不便なのだが、ほかのメーカのものは決して食べない。そもそもチーズが好物の猫もあまり聞いたことがないが。

この猫、妻がたいそう甘やかしている。そう僕なんかよりずっと優しく接している。
冬の寒い日は決まってオロクは泊りにくる。
妻が寝ている部屋のワインケースに入って朝まで眠るのだ。
　
夜の９時前後にやって来て、妻の部屋の前にあるデッキに面したドアから合図をする。
普段は、か細い声で鳴いて合図をするのだが、妻の反応がないとドアをカリカリと引っ掻く。

この合図で妻は「ちょっと寝かしつけて来るから」と言ってリビングから飛んで行く。普段僕が、「お茶入れて」と言っても微動だにしない妻がだ。

だが、しばらく待っても妻は戻ってこない。寝かしつけると言いながら自分が寝かしつけられるのだ。

そう、冬の間、妻の就寝時間は９時。

最近は少し暖かくなり、泊りに来ることはなくなったがご飯は決まって食べに来る。
朝と夕方、そして時には深夜と早朝にも。それぞれ決まった時間にくる。時間は体内時計でわかるのだろうか。

今日は、チーズの特売日。
唯一〇〇社のチーズを扱っているスーパーまで往復１時間かけて買いに行くことにする（遠い）。

今も彼女（注意：妻ではなくオロク）はデッキの上で気持ち良さそうに寝ている。

手間はかかるが、僕らの癒しになっている。