連作障害という言葉をご存知ですか。
農業を生業にしている方にとっては、常識的な言葉ですが、家庭菜園を始めたばかりの方にはあまり馴染みがないと思います。
毎年同じ場所に同じ野菜を植えると上手く育たない障害のことです。
この記事では、家庭菜園の初心者に、連作障害についてその原因と対策方法を紹介します。
連作障害を避けるには、
1.野菜の性質を知ること。
2.何をいつ栽培したのか記録に残すこと。
最低限これが重要です。
この二つを心掛けてから、私も家庭菜園で野菜づくりに失敗することはなくなりました。
連作障害発生のメカニズムと野菜の種類
連作障害が発生する理由はなんなのか、どんな種類の野菜に起こるのか。
どうすれば、障害を防ぐことができるのか。
なぜ連作障害が起こるのか
連作障害について調べてみると、言葉通り、同じ野菜(同じ科)を続けて栽培すると、土壌の成分バランスが崩れ、特定の作物を好む菌の発生や病害虫の密度が高くなることで障害が発生します。
土壌病害
土壌中の病原体が増加し、根から侵入して根腐れを起こし病気を引き起こす障害です。
病気の種類には、青枯病、萎黄病、つる割病、根瘤病、など があります。
線虫害
線虫は土壌中に生息し、根にダメージを与えます。大きさは1mm以下で透明なため、なかなかわからず、障害がおきて初めて気づきます。
<参考>農作物におけるセンチュウ被害と緑肥による抑制効果
生理障害
気温や降水量、日射量の変化によるストレスで土壌中の微量要素が増え過ぎたり、足りなくなったりする現象です。
ホウ素の過剰やカルシウムの欠乏などです。
土壌養分が偏ると土壌環境の悪化により微生物が偏り、病気を引き起こします。
連作障害に気をつけるべき野菜5選
連作障害は全ての野菜に起こるわけではありません。
ある特定の野菜に発生し、期間も様々です。
期間は野菜によって異なります。
下表に、代表的な科目5種を紹介します。
( )内の数字は連作を避けるべき期間を示します。
ウリ科 :きゅうり(2) スイカ(5) ズッキーニ(3)
マメ科 :エンドウ豆(5) インゲン(2) 枝豆(5) そら豆(4)
アブラナ科:キャベツ(2) ブロコリー(2) 白菜 (2)
その他 :ほうれん草(1) レタス(1) ゴボウ(5)
連作障害を防ぐには
連作障害を避けるには文字どうり、連作を避け、輪作する方法があります。
ただ、貸し農園などでは前の借主が何を栽培していたのかわからない場合もあります。
その際には、連作をしても問題ない処理をする必要があります。
輪作による連作障害の予防
連作障害を避ける方法はいくつかありますが、手っ取り早く効果を出すには、輪作が効果があります。
同じ場所に、同じ野菜(同じ科の野菜)を植えることを避ける方法です。
その際、何処に何を植えたのかを、記録に残しておくことが必要です。
そのために栽培記録マップを作りましょう。
年間の栽培計画、と併せて作ると何かと便利です。
貸し農園の場合
自分が所有する菜園であれば、記録することで連作障害を避けることができます。
しかし、契約で借り受けする貸し菜園の場合、以前の借主が何を植えていたのか不明な場合がほとんどでしょう。
貸し菜園の運営者に確認するできれば良いのですが、大概は不明なことが多いでしょう、その場合は後述する輪作以外の方法で連作障害を避ける必要があります。
プロがやっている連作障害を避けて同じ場所で毎年野菜を作る方法
これはプロの農家が行なっている方法です。
輪作で連作障害を避けるのではなく、連作を可能にする方法です。
これは、素人の家庭菜園にも適用できる方法です。
※本来、障害を取り除くには土壌そのものを正しい状態にすることが必要であり、輪作は応急処置的なものです。
土壌活性浄化材による土壌改良
土壌活性浄化材を使って、土に必須アミノ酸。ビタミン郡を補充する方法です。
これにより微生物の活性化を促進し、整理障害を取り除き土壌環境を安定させます。
天地返しによる方法
冬の休耕期に、土壌の上から30cm程度を入れ替え、十分な施肥を行う方法です。
米ぬかと太陽の熱を利用した土壌殺菌
活性材を使うことに抵抗がある方には、次の方法がオススメです。
米ヌカを土壌にすき込み、透明ビニールシートで覆い太陽の熱で土壌を消毒する方法です。
米ヌカは土壌改善効果の高い微生物を増やし、生理不良の原因になる微生物を減らす効果があります。
衛生的な方法といえるでしょう。
まとめ
家庭菜園を始めた方にとって、連作障害を知ることは非常に大切なことです。
私も、家庭菜園を始めた頃は、植え付けたトマトが成長が悪い理由がわからず、途方にくれた経験があります。
色々と調べた結果、連作障害というものがあることに気づきました。
家庭菜園を始めた方、これから始めようとている方はぜひ、この障害について理解し、対策をしてください。
自分で育てた野菜をいただくのは、嬉しいことです。
さあ、頑張って美味しい野菜を育てましょう。