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親愛なる友、そして唯一の同級生だったK君へ

  • 2023年1月10日
  • 2023年4月25日
  • 雑考

 先日、スマホに学生時代からの友人Kからショートメールが届いた。

 先日の誘いの返事かなと思った。

 しかし、メールの送り主は彼の娘さんからだった。

 『1月8日の午前0時25分に、父が亡くなりました』。

 文面には「父が生前、あなたに会いたがっていたので・・」とあった。

 メールには葬儀の時間と場所が記されていた。

 すぐに、葬儀に参列する旨の返信をした。

 

 昨年の年賀状には「今度、久しぶりに会いましょう、連絡ください」と彼の携帯番号が書かれていた。

 そのうち時間ができたら会おうかと、返事をしないまま、一年が経過してしまった。

 彼にショートメールで連絡をとったのも今年の正月に彼から届いた年賀状を見て、心配になったからだ。

 年賀状には「昨年、大病をしたが今は安定している」とあった。

 彼には「コロナ禍が落ち着いたら今度会って、美味いものでも食べようか」そうメールを送った。

 その後届いたのが先ほどの娘さんからのメール。

 その前に受け取った彼からの最後の返信は、絵文字付きの ”了解です🤗” だった。

 

 学生時代の同級生で今もって交流が続いていたのは彼が唯一だった。

 交流といっても、最近では会うことはなく、年賀状のやりとりくらいだ。

 直接会ったのは2004年の担当教授の退官祝いが最後だった。

 胸騒ぎがしたのか、少し前に部屋の片付けをしている時にその時の集合写真を偶然みつけ、「そういえば、あれから、みんな元気でいるのかなあ・・・」と思ったところだった。

 その写真で僕らは並んで座っていた。

 

 彼との出会いは大学に入学してすぐ、ワンダーフォーゲル部に所属していた彼から登山に誘われたのがきっかけだった。

 僕はクラブには所属していなかったが、山登りに興味があり趣味が一致したのだろう。

 それからは、大学の講義をサボって近くの山道を二人で頻繁にドライブした。

 彼は自宅から遠距離電車通学。

 僕は車で通学していたので、ことあるごとに、彼を乗せて学校から離れた彼の家からほど近い駅まで送って行くのが習慣になっていた。

 講義が終わったあとはその駅前にある喫茶店でナポリタンとコーヒーを飲みながら、くだらない話をするのが習慣になっていた。

 何度か、一緒に登山をしたこともあった。


彼との思い出で忘れられないのが何かのきっかけで、喧嘩をしたことだ。

 今となっては何が原因だったかは思い出せないが、数ヶ月間、彼と口をきかないことがあった。

 講義に出てもお互いの姿を見かけると、避けるように離れた。

 学食でお盆を運ぶ彼が僕を見かけて離れた席についたのは、今でもはっきりと思い出せますよ。

 あの時は、結構辛かったのだよ。


そんなことも、あとでは苦い思い出に変わったのだが、彼の一番の罪(?)は僕にタバコを教えたことだ。

 今は数十年前に禁煙をして今はタバコを吸う習慣はなくなったが、僕が初めてタバコを吸ったのは彼によるところが大きい。

「大丈夫だよ、タバコなんか」と固辞し続けていた僕にタバコを勧めたのは間違いなく彼だ。

 最初、タバコの煙をくゆらせているだけの僕に「肺の奥まで深呼吸するように吸い込むんだよ」とアドヴァイス(?)したのは彼だった。

 言われるままに大きく煙を吸い込んだ僕は目を回した。

 それから禁煙するまでの十数年、僕がタバコのみになったのは彼の影響だ。


僕が親戚から譲り受けた車、「スバル1100」を4万円で引き取ったのも君でしたね。

 二人で学校帰りに格安の食べ放題の焼肉屋にも通いましたね。

 あの時、焼肉店でバイトしていた女の子が僕らが通うたびに太っていったこと二人で面白おかしく話しましたね。

 僕が留守にして帰った時に僕の家で僕の両親と一緒に君がカレーを食べていた時は驚きました。

 当時、僕が友人として両親に紹介したのは君だけでした。

 今は二人とも他界してしまいましたが、両親も君のことを気に入っていたようでしたよ。

 もしも、あっちの世界で僕の両親に会ったら、声をかけてあげてください。

 きっと、驚くと思いますよ。

 そして、「来るのが早すぎる!」と怒られるかもね。

 でも、安心してください、きっと優しく迎えてくれると思いますよ。

 君は僕の両親のお気に入りだったから。 

 会社に入ってからは、それぞれが別な道に進んであまり会う機会がなくなりましたが、

 君は卒業以降も付き合いがあった唯一の同級生でした。

 

 君の訃報を聞いて色々なことを思い出しました。

 何より去年、連絡しなかったことが悔やまれます。

 申し訳ない。

 そして君は、出来るときが、やるべき時だ、ということを教えてくれました。

 人生の山の頂をとうに過ぎ、下り坂にいる今、出来るときに出来ることをすべきだということ。

 身に染みて感じます。


 この記事は君への鎮魂のために書きました。

 お疲れ様、ゆっくり休んでください。

 

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