最近、日本産のウイスキーが世界的に人気らしい。
投機目的で、何十万円にも値上がりしている銘柄もあり、入手困難だとか。
そんな中、隠れた人気のブランドがある。
秩父山中のブリューワリーで作られているウイスキー、イチローズモルトだ。
英国の品評会で世界一と評価されたウイスキーだ。
今、このウイスキーのおかげで秩父の街が活気づいている。
この記事はイチローズモルトを探しに秩父へ行ったショートトリップの話である。
イチローズモルトは秩父の酒屋で扱っている
秩父を訪ねたのは平日の水曜日、あと数日でウイスキー祭り※が開催されると聞き、混み合う前に行ってみようと計画した。
事前に調べていたイチローズモルトを扱っているという酒屋を目指して車を走らせ、秩父に着いたのは昼少し前。
いくつかの候補の中、車を停めた時間貸し駐車場から近い位置にある麻屋商店に行ってみた。
ネットで調べた通り、イチローズモルトの量り売りをしてた。いろいろなグレードのイチローズモルトの瓶が並んでいたが、どれも残りはほんのわずか。
休日になると、この店には、スコッチ愛好家が押し寄せるそうだ。
なるほど、マニア垂涎の店らしい。
お店の人にイチローズモルトの在庫を尋ねたところ、ホワイトラベルならあるという。
ホワイトラベルとは、イチローズモルトの中でも最もスタンダードで廉価な品。
それでも、一人一本という限定販売だ。
妻と僕の二人で2本を購入した。
レジで勘定をしていると、何やら後ろで気配が・・・。
妻が棚に並んだワインをじっと見ている。
妻がじっと見ていたのは、源作印のワイン。
「そういえば、亡くなった父親が、いつも飲んでいたのがこのワインだったな」、と思っていると、妻がそのうちの2本をレジに運んできた。
イチローズモルト2本と源作印のワイン2本。
これが、その日の収穫。
イチローズモルトは写真を撮り忘れてしまった。
プレゼント用に購入したのでもう手元にはない。残念。
イチローズモルトを扱っている秩父の酒店は麻屋商店の他にも数店あったが、この日は水曜日で多くの店が店休日だった。
いくつか候補に挙げていた店は軒並みシッターをおろしていた。
最初に訪ねた唯一、麻屋商店が運よく開いていたのは幸運だった。
ここが閉まっていたらと思うとゾッとした。
なぜかって?
妻の機嫌が悪くなるからです。あ~怖かった。
秩父神社に行ってみた
駐車場からほど近い場所に、秩父神社があった。
入り口のところに”秩父宮様ゆかりの神社”と案内があったが、なるほど秩父だからかと
勝手に関心していると、妻がお賽銭を出せと本殿の前で手招きをしている。
『はいはい、わかりました。115円(いいご縁)ですね。』
ここでも、本殿の廊下に飾ってあるイチローズモルトの樽がこのお酒が秩父の街を元気にしていることを証明していた。
本殿の廊下に日本酒に混じってイチローズモルトの樽が。これが秩父を盛り上げていることがわかる。
ここの猿たちは情報化社会にマッチしたお元気三猿
本殿を左に回ると、軒の下に、三猿の彫り物がある。
ここの猿は、庚申信仰によるところの「見ざる、聞かざる、言わざる」ではない。
「よく見て、よく聞いて、よく話す」だ。
いつまでも元気で、笑顔が絶えない生活を送れることを願っているのだそうだ。
いわば、情報化時代にマッチしたお元気三猿だ。
左 甚五郎作 「つなぎの龍」
本殿の右側には龍の彫り物がある。
その昔、秩父にある「天ヶ池」に住みついた龍が暴れると、この彫刻の下に水たまりができたそうだ。
この彫り物の龍を鎖で繋ぎ止めたところ、その後龍は現れなくなったという伝説があるという。
本殿に施された鎖で繋がれた青い龍こそが、この伝説に登場する「つなぎ龍の姿」だと説明書に書かれていた。
興味深かったのは、作者は、かの名工、左 甚五郎その人だったということ。
そう、日光東照宮にある、眠り猫を彫った人だ。
商売繁盛はやはりキツネ様にお願いするのがいい
本殿に向かって左前にあるのが、倉稲魂神、稲荷神社。
言わずと知れた商売繁盛の神様だ。
商売は、していないけど、幸運が舞い込むように参拝しておいた。
リタイアして早くも数年、何かいいことないかな〜と、神頼みです。
タンメンが超美味!麺’S BAR ICHIMARU
そうこうしているうちに、昼御飯の時間に。
孤独のグルメの井之頭五郎さん流に「腹が減った、店を探そう!」となった。
お酒を買った麻屋商店の少し先で見つけたのが、麺’S BAR ICHIMARU。
秩父は蕎麦が有名らしいが、ラーメンも人気でたくさんの専門店がある。
なんだか、良さそうな店なので入ることにした。
通り沿いの門(?)から中庭を抜けていくと、店の入口が現れた。
中の様子は、ラーメン店ではなく、バーそのもの。
改めて、店の名前を確認してしまった。
メニューには、イチローズモルトも載っていて、おつまみメニューも充実。
そう、この店は、麺も提供しているバーなのだ。
店内は、感染対策なのかきちんと仕切られたカウンターとテーブル席があり、僕らは奥の秘密の場所的なカウンターに通された。
僕は、オススメの一丸タンメンとランチタイム限定の半旨辛ホルモン丼を注文、妻は同じく一丸タンメンを麺半分(大盛りもできるが、半分麺もある)で注文。
細麺のタンメンは、美味で、野菜がこれでもか、というほど入って入る。
満足の一杯であった。
ここが本当の麺 ‘s Bar Ichimaru の入口。
店内は右に止まり木、左にテーブル。まさにBAR。左右は赤い布でコロナの感染対策も完璧なつくりに。
案内された席は、奥まった秘密の隠れ家のよう。厨房からも他の客席からも見えないプライベート空間。
一丸タンメンとランチタイム限定の半旨辛ホルモン丼。
写真撮り忘れて、タンメンは半分ほど、食べた後。これで野菜の摂取は完璧になった。
秩父蒸留所、イチローズモルトが眠る場所
秩父市内から車で20分ほど離れた丘の上にあるのが、イチローズモルトが樽の中で眠っている場所。秩父蒸留所へ行ってみた。
イベント開催時は予約で中にも入れるらしいが、普段は、一般公開はしていないそうだ。
今回は、どんな場所で作っているのか、外観だけでも見てみようと訪ねた。
秩父市内からナビを頼りに細い山道を登ること20分、小高い丘の頂上にその蒸留所はあった。
この蒸留所は、羽生蒸溜所創始者の孫である肥土伊知郎氏が創業したベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所。
2008年2月に稼働を始めて以来、秩父になくてはならない存在になっている。
今度、イベントの機会があったら予約をして中を見てみよう、そう思いながら、入り口の写真を撮って、そのまま丘を下った。
<秩父市内から秩父蒸留所までのルート>
まとめ
今回の秩父訪問は、久しぶりに会うことになったイタリアの友人へのお土産探しが目的だった。
友人への土産もあったが、数年前にイタリアを訪問した際にお世話になったワインとオリーブオイルの醸造家へのお礼も兼ねていた。
あれから数年が過ぎてしまい、以前から何かお礼をしなければと思っていた。
そんな折、3年ぶりにイタリアの友人から仕事で来日するいう連絡があった。
日本のもので、記念になるようなものを、と考えたのがイチローズモルトだった。
ネットでも注文できるが、できることなら直接、秩父に探しに行こうと思ったのが今回ショートトリップをした理由だ。
これが目的ではあったが、ショートトリップとはいえ、コロナとリタイアで、なまっていた体と気持ちをリフレッシュできた一日であった。
少し、外に出てみようか。 そんな気持ちになった一日だった。