「今日もていねいに。」は今から10年ほど前に初めて読んだ”松浦弥太郎の本”です。
この本を読んだ時、何気ない一日の繰り返しが愛おしくなりました。
リタイアした今、改めて読み返してみると更にそう感じます。
この本を読んでいると静かな落ち着いた気持ちになることができます。
例えて言うなら、お気に入りのカフェでゆっくりとお茶をいただきながら過ごしている、そんな感じです。
今日もていねいに生きるとは、生活のひとコマを楽しくワクワクして暮らすこと。
この本で松浦弥太郎氏が語っているのは、普段の生活のひとコマを楽しくワクワクして暮らすこと。
本書の中で次のように言っています。
小さなうれしさがたくさんある一日であれば、ほんのり幸せになります。
そんな毎日がずっと続けば、生きているのが楽しくなります。
そのための僕なりの方法が、自分プロジェクトです。自分プロジェクトとは、誰かに「やれ」と、言われたことではありません。
自分でしかつめらしく「やらねばならぬ」と決めたことでもありません。
仕事でもいいし、毎日の暮らしのなかの、些細なことでもいい。
「これがでくたら、すてきだろうな、おもしろいだろうな、きっと新しい発見があるだろうな」
そういった小さなプロジェクトをいくつもこしらえ、あれこれやり方を工夫し、夢中になって挑戦し、順番にクリアしていくことです。第1章すこやかな朝ごはん:毎日が「自分プロジェクト」より
この本は松浦弥太郎氏の言う「自分プロジェクト」を行うヒントを教えてくれています。
この本「今日もていねいに。」の基本情報
書籍名:くらしのなかの工夫と発見ノート 今日もていねいに。
著 者:松浦弥太郎
発行所:PHPエディターズ・グループ
発売元:PHP研究所
2008年第1版1刷発行
2011年第1版19刷発行
サイズ:19cm /166ページ
今日をていねいに生きるとは、自分で自分を日々更新する方法
この本では、自分プロジェクトのヒントを次の4つの章で紹介しています。
第 1章 健やかな朝ごはん
第2章 とびきりのランチ
第 3 章 しなやかな人生のためのアロマ
第4章 穏やかな晩ごはん
内容は、普段の生活そのものについてです。
しかし、ありきたりの出来事について「そんな見方もあるんだ!」という発見を教えてくれます。
例えば、第3章に出てくる”腕を組まない”では、普段、何気なくやっていることでも松浦弥太郎氏の文章は気付きを与えてくれます。
こんな感じです。
腕を組むというのは、自分の精神の表れです。心をブロックしている状態だと思います。(中略)そんな所作を毎日続けていて、「いいことなんて、あるわけない」とすら思います。
腕組みと同様、足を組むのも、やめたほうがいいでしょう。傲慢でえらそう、相手に対して、ずいぶん失礼です。(後略)
そのほかにも、”暮らしの引き算” や ”「足りない病」を治す” では、「なるほど、そうだな」と思わせてくれます。
この本に書かれていることは、身に覚えのあることばかりで、すぐに正す事を実践したくなります。
そして、松浦弥太郎氏は一番言いたかったことをこの本の最後に書いています。
僕の父は、たくさんの宝くじを持っています。
すべてが見事にはずれ券。どういうわけか父は、何十年分ものはずれ券を、後生大事に取っているのです。
「はずれ券を捨ててしまったら、絶対に当たらない気がするんだよ」
あるとき、訝しく思った僕が尋ねると、父はこんなふうに答えました。
<中略>
「失敗」という面が見えているカードをひっくり返し、ささやかでも「成功」という面に変えていく。人生の道のりで、点々とちらばっていたばらばらのカードを、一本の線につなげていくー。
今日をていねいに生きるとは、カードをくるりとひっくり返す方法。
ばらばらの点だったカードを、一本の線に変える方法。
そして何より、自分で自分を日々更新する方法だと思います。
”おわりに ~明日を待ち遠しく眠りたい~”より
「今日もていねいに。」はこんな人にオススメ
この本は
・毎日が単調でつまらないと感じている方。
・生活に慣れてしまい毎日がただの繰り返しだと思っている方。
そんな方にオススメです。
ちょっとした心の持ち方で毎日が変わっていく、好奇心が刺激されて楽しくなる。
この本を読むと、普段の日々の暮らしを日々新しくするための秘訣がわかります。
この本では、荒々しい世の中や人間関係でブレてしまった心の矛先を自分に向け直すやり方を紹介しています。
「今日もていねいに。」で思い出した台湾の茶藝館での時間
冒頭でも紹介しましたがこの本がきっかけで松浦弥太郎氏の作品を読むようになりました。
氏の語り口は、「確かにそんな考え方もあるな」といつもヒントに溢れています。
日々をていねいに暮らす過ごしかたを作者自身の体験を通して紹介しているので、リアリティに溢れています。
松浦弥太郎氏が指摘することを考えるにつけ、いかに自分が雑な生活をしているのかを指摘されているようで反省しきりです。
しかし、この本を読み終わった後は、なぜだかとても心が落ちつきます。
最初にカフェの話をしましたが、ずっと以前に尋ねた台湾の茶藝館を思い出します。
夕食を終え、ホテルにほど近いお店で、台湾茶と地元の素朴なお菓子でゆっくりとした時間を過ごしたときのあの感覚。
そっと、心穏やかに過ごすこと。
これが松浦弥太郎氏が一番語りたいことではないのでしょうか。
まとめ
この本の副題にもなっている「暮らしのなかの工夫と発見ノート」の言葉通りこの本は一度読んで終わりではなく何度でも読み返すことのできる暮らしの辞典のよう。
日々の生活が単調に思えた時。
何事に対しても好奇心が薄らいできた時。
明日が待ち遠しいと思えなくなった時。
この本のページをひらくと、気持ちをリセットできるように思えます、松浦弥太郎氏が最後のページで語った次の言葉のように。
明日を待ち遠しく眠りたい (本書最終項 「おわりに」 より)
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