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【レビュー】「定年バカ」!退職後の生活に不安を抱えている人に

  • 2022年6月15日
  • 2023年1月10日
  • 雨読

定年後はどうしようか?

やはり定年後は地域行事に積極的に参加しないといけないのだろうか?

定年後、再就職しないで無職でいることは罪?

 

僕が60歳の定年後、63歳でリタイアしてもう少しで2年。

世の中のリタイアした人達は何をしているのかと思い、定年本を探して見つけたのがこの本、「定年バカ」です。

アマゾンの口コミで、著者のストレートな語り口がなんともいいとの評判で読んでみました。

まだ現役で働いているが定年後はどんな世界が待っているのだろうかと不安に思っている方。

すでに定年、リタイアして今は無職の方。

社会とつながりがなくなったと嘆いている方の参考になると思います。

「定年バカ」は定年後の不安を煽る定年本を徹底的に揶揄した本

この本の著者は勢古浩爾さん。

僕はこの方の本は初めて読みましたが、歯に衣を着せぬ文章を書くことで有名なようで、この本でも徹底的に他の定年本をこきおろしています。

中には不快に思う方もいるような書きっぷりですが、声を出して笑いが溢れるほどの文章を書かれています。

世の中に出版されている数多い定年本の中から39冊を選び、徹底的に批評しています。

本の表紙に書かれた「充実した定年後という幻想を笑い飛ばす、痛快な人生指南書」がぴったりな本です。

「定年バカ」を読むと世の中の定年本の企みが良くわかる

定年後の不安を煽りそれをビジネスの市場に作り上げているのが現在の日本であり、数々の知識人、企業人たちが定年本を出版している。

そして政府までが老後2000万円問題だとか、いろいろなことを言って老後市場を拡大しようと企てています。

著者はこの状況を全くもって理解しがたい、定年後は自分の好きにすればいい、人それぞれ事情が異なるのだから、と終始主張しています。

そして著者の主張に信憑性があるのは著者自信が定年退職者で無職(沢山の本の執筆をしていますが)で自分の好きに生きているということ。

「定年後は~なさい」にはうんざり

この本で著者は団塊の世代が大量定年になり始めた頃から多くの定年本が出版され、定年後は「資金計画を立てなさい」、「運用も考えなさい」、「できる限り仕事を続けなさい」、「健康管理を怠らないように」、「現役時代から趣味を持ちなさい」、「地域社会に溶け込みなさい」、「家族(特に妻)との関係を見直すように」、「ボランティアをしなさい」、「交友を広げなさい」(”なさい”は本文から抜粋)とまっとうなことを言っているが、それは大きなお世話で結局は「自分の好きにすればいい」と言っています。

定年本の著者のほとんどは定年を経験していない

多くの定年本を注意深く観察して見ると、大多数の著者が実際には定年なんてずっと先の世代の人間であるということに気付きます。

頭で考えた定年後はこうすべき、こうあるべきだと判で押したように同じようなことを言っていると書いています。

その内容も一流企業やセレブ級の人物を対象に書いているので、平均的な定年退職者にとっては全く参考にならない、と分析してます。

頭で考えたら結局はみんな同じ内容で、言い回しを変えているだけだと指摘しているが、ごもっともです。

お金、生きがい、健康、社交、定年不安、未練、終活の7つのバカ

この本の中では色々な本で勧めている内容を7つに分類してそれぞれを〇〇バカと表現して一刀両断しています。

基本はやはり人それぞれ環境や条件が違うのだから結局は「自分の好きにすればいい」と繰り返し主張しています。

「定年バカ」がオススメの人

自分はまだ現役で働いているけど、定年後はどんな世界が待っているのだろうかと不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

そして、すでに定年、リタイアして今は無職、社会とつながりがなくなったと嘆いている方。

そんな方にオススメの本です。

きっと目からウロコが落ちます。

「定年バカ」がオススメじゃない人

「自分は第二の人生を始めるんだ、すでにプランがあってあとは実行に移すだけ」
あるいは「このままずっと今の仕事を続ける予定だ」
「そもそも自分には定年なんいて関係ない、好きなだけ仕事を続けることができる」

という方にはあまり参考にはならない気がします。

ただ、著者の毒舌を楽しみたいのであれば読んでも面白いかとは思いますよ、笑える箇所がいくつかありますから。

「定年バカ」を読んで思ったこと

最初にタイトルに惹かれて読み始めましたが、ことごとく世の中の定年本を否定、反論しているので「なんだ、本を読んでその批評をして自分の本を出版しているだけじゃないのか」と一瞬、不快な気持ちになりましたが、読み進めて行くうちに「よくもまあこれだけの書籍を読んだもんだ、第一この批評は当たってる、僕も同感だ」と思うようになりました。

そして何より、対象の書籍の著者に対しては、いわゆる忖度が全くなく、コケ下ろし方も半端ない、読んでいて声を出して笑ってしまうところが何箇所もありました。

さらに、著者の紹介欄にあるご本人の写真も「もう少し格好つけてもいいんじゃない」と思えるほどラフな憮然とした姿はいかにもこんな文章書きそうだな人だなと思わせてくれます。

今まで僕も定年本というジャンルの本を何冊か読んで、「うん、定年後8万時間もあるのか、何かしなければ」とか「生き生きとした定年後ってどうすれば」と悩んでみたりしましたが、この本のおかげで迷いが消え、スッキリしました。

そう、著者の言う通り「自分の好きにすればいいんだ」。

「続、定年バカ」も出ています

この本の続編、「続、定年バカ」が2019年に発行されています。

すでに僕は読み終わっていますが、前作以上にパワー炸裂です。

「前作でほとんどの定年本の息の根を止めたと思っていたが、「人生100年時代」なる新たな敵が登場した」とまえがきで宣戦布告をしています。

いずれこの本の紹介もしたいと思います。

えっ、お前がブログ書く前に買って読むって?

どうぞ「自分の好きにすれば良い」のですから。

まとめ

この本の主張はとにかく「定年後は自分の好きにすればよい」で終始一貫しています。

確かにその通りだと思いますね。

ただこの本の中で著者のアドバイス「住宅ローンだけは定年後まで引きづらないほうが良い」には極めて同感です。

特に今現役の皆さん、これはとても重要なことです、しっかり肝に留めておいたほうがいいと思いますよ。

 

僕自身、定年後を見据えて何かしなくてはと焦った時期もあります。

現役時代を懐かしむ訳ではありませんが、組織から出されてしまうと将来にバラ色の世界を求めてしまいがちです。

 

主だった定年本はだいたい読みました。

映画も見ました。

 

いちいち納得する内容もありましたが、この本の著者、瀬古さんがいうように「だから何?」です。

ああしろ、こうしろは余計なお世話なんですね。

 

知人が定年した父親が何もしないので困っていると嘆いていましたが、それでいいんじゃないでしょうか。

個人の自由です。

朝寝、昼寝、時々時代劇。

いいと思いますよ。

この本を読むとますますそんな風に思えるようになりました。