検索キーワード

BtoB市場で大企業が中小企業に勝てない理由

あなたの会社の約40%の事業は赤字

 どうしてBtoB市場で大企業(総合メーカー)は中小企業(専業メーカー)に勝てないのか。

 この記事ではその理由を、総合メーカの40%を占める事業が赤字であり、どの会社も例外なくこの現象が起きているという事実から探ってみました。

 なお、ここでいう中小企業とは、親会社からの受注で事業をしている下請け企業ではなく、自らのブランドを持っている専業メーカのことです。

大企業がつくる茹でガエル

 もしも、あなたが大きな会社の社長で複数ある事業の中に赤字の部門があったらどうしますか?

 複数の事業を運営するほとんど全ての企業で赤字や収益ギリギリの事業を他の事業が支えて連結決算で黒字にしているという事実があります。

 信じがたい事ですが、ほとんど全ての大企業がこの状況にあるようです。

 そして、長いこと、赤字もしくは営業利益ゼロの境界を行ったり来たりしている事業をどうするかが大きな課題になっています。

 

BISくん
でも全てがそんな会社ばかりじゃないんじゃないの?
ONIMA
いいえ、驚くことにほぼ全ての企業で不採算事業が全体の40%近く、採算事業が20~30%、残りが採算の境界線上だという調査結果があるんだよ。 

 

 改善の方法は2つあると思います。

❶赤字もしくは収益性の低い事業を利益の出る事業に作り変える。
❷もう何年もの間、改善が見られないので思いっきって事業収束させる、できれば従業員ごと事業を他社に売却する。

 大概、世の中の会社は事業の改善策をこの二つの選択肢から選ぶのではないでしょうか。

 しかし、現実問題として大きな企業ほど、このあたりまえの選択さえ考えていないのではないかと思います。

 なぜなら会社全体は利益が出ている(連結決算)ので会社は黒字だと思っているからです。

 従業員は赤字部門の社員も毎月給料がもらえているし、会社も従業員に給料を払えている、株主からのプレッシャーもない。

 そんな状況で居心地が悪いのは当該赤字事業の幹部だけでしょう。

 そして頼みの採算事業が不調に陥ったときに初めて危機感を持つのだと思います。

 事業の中心は実際には仕事を進める社員であるにもかかわらず幹部のみが危機感を抱いている(というよりは幹部さえ上からの叱責を避けたいと思っているだけかもしれない)のが現実の姿ではないでしょうか。

 どうにもならなくなった段階で社員に危機感が伝わり、対処する間も無く事業が終息する。

 これは僕の経験からの見解です。

中小企業(専業メーカ)が強いワケ

 一方中小企業(専業メーカ)にはこれは当てはまりません。

 単一の事業しか持たない中小企業は穴埋めをしてくれる他の事業が存在しないからです。

 自ずとその事業を高めることに注力します。

 大企業と、中小企業が同じ市場で戦う場合、戦い方に差が出るのがこの事業構造の差で危機感の持ち方というマインドの差だと思います。

 中小企業は、後が無いという切羽詰まった状況で事業活動をしているのに対し、大企業は今まで通りやっていればなんとかなるだろうと思っているのではないでしょうか。

 この違いが事業の強さになって現れます。

 これが決定的な違いではないかと思います。

中小企業(専業メーカ)の攻勢

 中小企業(専業メーカ)はその事業そのものが会社の実績になります。

 そのため会社の業績はすぐに社員全員に共有されます。

 赤字になったら、なりそうになったら全員で必死に対応策を考えます。

 業績悪化で給料やボーナスがもらえなくなるのがイメージできるからです。

 事業部は赤字だけど、会社本体は黒字だから潰れる事はないし、きちんと給料は支給されるだろうと、たかをくくっているのは大企業の社員です。

 赤字にもかかわらず、一番の関心は上が気にいるようなレポートを作る事。

 エクセルよりも上へのプレゼンに便利なパワーポイントの作成スキルばかりが上達している。

 後がない人間と安全に保護されている社員、どちらのマインドが高いかは明らかです。

まとめ:今こそ大企業は事業変革を実行すべき時

 それでは、大企業が中小企業(専業メーカ)と競合して勝つためにはどうすれば良いか。

 結論はメーカの中での立ち位置を専業メーカーと同じにするしかありません。

 企業のなかの事業を独立させた組織として収支を明確にして専業メーカーと戦う環境を至急構築すべきだと思います。

 企業ではなく事業を柱にすべき時にきています。

 特にB to B事業に関わるみなさん、専業メーカは驚くほど強いです。

 躊躇している暇はありません、頑張って実行してください。

 えっ! もうやっている?

 それでは、その体制で頑張ってください。