国家資格試験。
なんだか、難しい感じがしますよね。でも自動車運転免許も国家資格ですから国家資格といってもいろいろですね。
一昨日、その一つを受験してきました。
無線従事者国家試験・航空特殊無線技士の資格試験です。
この資格は単独で商業用以外の航空機(小型機やグライダー)を操縦するときに必要な無線操作の資格です。
僕は操縦はしませんけど・・・(理由は、最後の”まとめ”に書きました)。
この記事は、今回の経験を同じ資格試験を目指している方の参考になるよう、詳細を報告したものです。
受験の参考になれば幸いです。
尚、無線資格に関する詳細な情報は、日本無線協会のホームページから入手できます。
<追記 2023.2.21>
本日、日本無線協会からメールで 合格 の連絡がありました。
詳しくは後半でお伝えします(本記事のタイトルにも “合格 “の2文字を追加しました)。
無線従事者国家試験(航空特殊無線技士)を受験してきた
この資格があるとできること
まずは、この資格があれば次のことができると定義されています。
航空特殊無線技士は航空運送事業用航空機以外の航空機と通信する航空局の無線設備が操作できます。また、自家用飛行機や国内を飛行する小型飛行機の無線設備操作も可能です。
言い換えると、自家用飛行機やグライダーなどの航空機を単独で(インストラクターと同乗する場合は不要)操縦する場合、この資格が必要になります。
試験内容
試験は以下の①②③です。③で、もたつかなければ 短い時間で済みます(後ほど説明します)。
①受話通信:CDから流れる欧文を答案用紙に書き取る(2分+α)
②筆記試験:法規12問と無線工学12問 (60分・途中退席可)
③送話通信:試験官から渡される問題を見て、100文字を音読する(2分+α)
( )内は試験時間
試験開始時間の15分前までに集合、この15分間で受験上の注意事項の説明があります。
疑問点があれば挙手をして質問することができます。
合格基準は
①が100点満点中80点以上
②は法規、工学ともそれぞれ60点満点中40点以上(1問5点)
③は100点満点中80点以上
<追記 2023.2.9>
筆記試験の問題と回答が公表されました。リンク→令和5年2月期 試験問題と回答
自己採点の結果は、法規、工学とも満点でした。
問題用紙は持ち帰りできます。
受話に要注意、欧文の発音は超日本人なまり
この試験で注意しなければならないのが最初の受話試験。
CDに記録されたフォネテックコードの問題が読み上げられるのを聞いて回答用紙に書き取るのですが、注意したいのが、話者の発音。
問題の音声は日本人が話しているらしく、完全な日本語訛りの欧文。
事前にアプリ(電気通信術 PRACTICE!)で英語ネィティブの発音を聞いて練習していると、違和感を感じます。
僕は、この発音に惑わされて、数文字書きそびれてしまいました。
受話練習用動画
試験に近い音声はYouTubeで探せますので、それを参考に練習したほうが良いと思います。
参考までに以下のYouTube動画を紹介しますが、これ以外にも ” フォネテックコード練習 ”で検索すると、いくつか見つけられます。
実際の試験で使われる発音は下の動画の例に近いです。
練習には次の項目で紹介する 受話・送話練習用アプリ(欧米人の発音)がおすすめですが、実戦でまごつかないために、事前にこの動画で「日本人発音」の確認をしておくほうが良いでしょう。
出典:YouTube
受話・送話練習用アプリ(欧米人の発音)
電気通信術
メニューには受話 送話 使い方 回答用紙があります。
ネットで ”電気通信術練習アプリ”と検索すれば出て来ます。
スマホにダウンロードすれば場所を選ばずに練習できます。
僕はこれを基本に学習しました。
アプリとしては大変よくできていますし、発音もきちんとしていて聞きやすいです。
繰り返しますが、実際の試験は、上で紹介した日本語訛りの発音です。
よくよく考えると、この資格は日本国内限定なので、それでいいのかもしれませんが・・・。
試験対策(学習法)
以下、法規、無線工学の筆記試験と電気通信術(フォネティクコードの受話と送話)の学習法について解説します。
筆記試験は数年分の過去問を丸暗記でOK!
筆記試験は法規の問題が12問、無線工学の問題が12問、合計24問です。
それぞれ、問題用紙は両面印刷で2枚配られます。
4択問題の答えをマークシートに記入する(塗りつぶす)方式です。
出題内容は、過去に出題された問題がほぼ100%。
5回分くらいの過去問を解く練習(丸暗記でOK)をしておけばほぼ満点が取れるでしょう。
無線工学は、工学と名がつくほど難しくはありません。
過去、簡単な計算問題も出題されていますが(今回の令和5年2月期の試験には計算問題はありませんでした)基本を押さえておけば大丈夫です。
最低合格ラインが2つの科目、それぞれ12問60点満点中40点以上なので、各4問まで間違えても大丈夫です。
さらに問題用紙は試験後は持ち帰ることができるので、数日後にネット上に公開される回答を基に自己採点が可能です。
また、試験時間は60分に設定されていますが、過去問をマスターしていれば10分もあれば見直しも含め全問記入できます。
試験開始から30分経過であれば途中退場できます。
今回もほぼ全員がその時間に退場しました。
受話と送話は練習あるのみ
受話と送話については、繰り返し練習あるのみです。
受話はアプリの練習を繰り返し行いました。
アプリからプリントアウトできる模擬回答用紙に書き取る練習を約100回、完璧だと思えるまで練習しましたが、結果は先に述べた通りです。
アプリからダウンロードした用紙で練習。
実際の試験は文字の区分線はなく、行の罫線のみ。
左から、右に記入。
送話はアプリで受話の答えを書き取ったものを使い、何パターンも繰り返し声を出して、送話練習をしました。
試験の1週間前には筆記試験の勉強は中止して、送話だけ集中トレーニングしました。
最後の科目なので緊張感を保つことが必要です。
受験時の注意事項
受験で注意しなければならないことが、一般的常識に加えいくつかあります。
主なものを紹介します。
①座席は通路側に座るべき理由
座席は受験番号で仕分けられます。
具体的に番号で席が指定されているわけではなく、番号の範囲で試験場のエリアが指定されます。例えば受験番号〇〇番から△△番までは部屋の窓際の席2列など。
席は1つの机に2名がけで両端に座ります。
途中退出がしやすいで、通路側に座ることをお勧めします(理由は③で説明)。
机の上には受験票と筆記用具、時計のみ置いて可、スマホやスマートウオッチ等の電子デバイスは不可、計算尺も使用不可です。
②受話の記入にはボールペンが使える
受話の試験では記入に鉛筆の他に黒色のボールペン(赤色は不可)が使えます。
試験官からボールペン可の説明と、文字は丁寧に書くようにと指導がありました。
鉛筆書きで間違えたら消しゴムで訂正などしている余裕はないので、慣れたボールペンを使う方が良いでしょう。間違えた場合は二重線で訂正して正しい答えを書けばOKです。
試験官から特に指摘があったのが、文字の書き方。毎回、不明瞭で判読不能な例があるそうです。
文字は大文字、小文字はどちらでも良いですが、混在はNGです。
③送話の順番は退出順
送話は試験会場に4つのテーブルが4隅に配置され同時に4名が受験できるようになっています。
そのため、他の受験生の声が聞こえますが、集中していればさほど気になりません。
送話で一番注意しなければならないのが受験の順番です。
最後の送話の受験の順番は筆記試験で試験場を退場した順に番号を書いたカードが渡されます。
受験番号は関係ありません。
そのため、退場にまごついていると遅い後ろの番号になってしまいます。
今回は130名ほどの受験生がいましたが僕の番号は109。
渋谷のファッションビルか!、1時間以上の待ち時間になってしまいました。
窓際の席を取ったのが失敗でした。ほぼ全員が途中退席したために退出の列に阻まれてしまいました。
一時間近く、廊下で待機していました。
これから受験する方は注意してください。
オススメの参考書と過去問集
受験準備に必要なのが参考書と問題集。
僕が使ってみて、役に立ったものを紹介します。
参考書
参考書は「やさしく学ぶ 航空特殊無線技士試験」がおすすめです。
基本的な解説の後に、練習問題(過去問題)が載せてあるので、なぜそれが答えなのかがわかりやすくまとめてあります。ポイントが明確に書かれているので学習するのに無駄がありません。
特に、練習問題が充実しているので、別の方法で過去問題を入手する必要がないかもしれません。
それくらい、オススメの参考書です。
書 名:やさしく学ぶ 航空特殊無線技士試験
著 者:吉村和昭
出 版 社 :オーム社
ページ数:170ページ
初 版:2019年9月15日
サ イ ズ :14.9x1.2x21cm
定価:2860円(本体2600円+税10%)
以前購入した「航空特殊無線技士 法規」と「航空特殊無線技士 無線工学」も詳しい解説があっていいのですが、試験対策に特化するのであれば先に挙げた一冊がいち押しです。
書 名:航空特殊無線技士 法規
編集・発行:一般財団法人情報通信振興会
ページ数:160ページ
初 版:2012年1月20日
サ イ ズ :14.9x0.8x21cm
定価:(本体1600円+税)
書 名:航空特殊無線技士 無線工学
編集・発行:一般財団法人情報通信振興会
ページ数:163ページ
初 版:2012年1月20日
サ イ ズ :14.9x0.9x21cm
定価:(本体1500円+税)
過去の問題集
過去問は問題集も書籍で発売されていますが、無線協会と電波受験界のホームページにPDFの形式で問題と回答が掲載されていますので、無料で入手できます。
オススメは電波受験界の過去問集、必要十分な量の過去問が無料で入手できます。
筆記試験は「やさしく学ぶ 航空特殊無線技士試験」だけでも充分だと思いますが、この過去問があれば完璧だと思います。
<参考>
電波受験界 航空特殊無線技士 過去の試験問題と回答(令和元年10月期〜)
試験結果はメールでホームページへのアクセス方法とパスワードが送られてくる
試験の結果は、日本無線協会から受験者個々にメールが送られてきます。
今回は受験日から17日後に送られてきました。
ホームページへのリンクとパスワードが添えられていますので、そこにアクセスすれば結果をダウンロードすることができます。
指定のページにアクセスすると、下の画面が現れて ID(受験番号)と協会から指定されたパスワードを入力すると、試験結果が表示されます。
ダウンロードした通知書に合格の文字があれは、ライセンスの申請時に使用します。
どんなものでも合格の2文字はいいものだ。
合格通知だけでは資格者になったことにはなりません。
免許証の申請が必要です。
申請方法は以下を参照してください。
受験者について
これ以降は僕のつぶやきなので、試験対策が目的の方は読み飛ばしていただいて結構です。
今回の東京会場(中央区晴海3丁目3−3、日本無線協会試験センター)の受験者は正確ではありませんが130人ほどだったと思います。
当初、僕は自身の年齢を考えて ”周りから浮いてしまうんじゃないか” と思いましたが、シニアらしき方もちらほらいたため少し安心しました。ほとんどは20代から30代の若者(受験資格は、年齢性別不問です)でした。
何人か若い女性の姿も見かけましたが、おそらくは大学のグライダークラブのメンバーかと思われます。
シニアの方はリタイアしてからグライダーや自家用飛行機の操縦を習おうとしているのではないかと勝手に想像しました。
その他には航空自衛隊の制服を着た若者もいましたが、もっとも驚いたのが中学生らしき受験生も数名みかけました。受験票を手にしていたので間違いなく受験生でした。
これも勝手な想像ですが親が現役のパイロットで子供に英才教育の一環で受験させている?
違うかな?
まとめ
今回の僕の受験は、航空機の操縦のためではありません。
ずっと以前、受験を申請していましたが、ある事情で実行出来なくなりました。
その頃はグライダーの操縦ライセンス取得も考えていましたが、数年前に、ニュージランドで2日間の操縦体験をしたことで満足したので、現在は断念しています。
ただ、今更とは思いましたが、この受験は、過去に ”やり残したことの一つ” ではないかと考えて受けることにしました。
送話試験が終わった後に試験官から
「年齢のことを言っては失礼ですが、なかなか、お歳の割りには、送話が上手くて感心しました。グライダーの操縦資格を狙っているのですか?」と言われました。
試験官は嫌味な感じは全くなかったので本心からそう思ったのだと思います。
嬉しかった反面、やはり高齢者にみられた(事実ですが・・)ことは少しショックでした。
本人は決して自分が高齢者だなんて思ってもいないので・・・・。
話を戻しますが
この記事はこれから本当にこの資格が必要で取得を考えている方のために僕の経験を紹介したものです。
この試験は、1.5ヶ月から2ヶ月ほどの準備期間があれば、ほぼ合格することができると思います。
テキストの熟読と過去問、受話と送話の通信術のトレーニングをしてください。
必要なのは過去問題、通信術用の教材と40~60時間の学習時間です。
きっと良い結果が得られると思います。