この本の正式なタイトルは「やりたいことがある人は未来食堂に来てください」。
著者が理系のエンジニアから食堂経営に転身した際に気づいた「始める」「続ける」「伝える」ことの最適解を紹介した本です。
この本で著者が言いたいのは、表紙の裏に書かれた次の言葉です。
「あなたの行動にブレーキをかけるのは、ただ一つ、あなたの心だけなのです」
理系エンジニアが食堂経営に転身して気づいた新しいことする時のクセ
この本は著者が自身の体験を通して新しいことを始める時に行き当たる悩みに応えたものです。
タイトルにある「やりたいことがある人は・・・」の言葉の通り、これから新しいことを始めようとしている人への応援メーセージです。
本書は、著者の3冊目の本。
この本は、前に書いた『未来食堂ができるまで』や『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』と異なり、飲食の枠を超えた、”何かを始めたい方へ伝えたいこと”が書かれています。
著者は理系の大学を卒業後IT企業でエンジニアとして活躍した後、異業種である飲食店を自分一人で開業します。
その飲食店は今までの食堂ではなく、理系的・エンジニア的思考の詰まった斬新的な飲食店として評判を集めます。
評判を集めたこの店に次々に新しいことをやりたいと考えている人たちが集まって来ます。
その過程で著者が気づいたのは、その人たちの思考や振る舞いにクセがあること。
著者は彼らから気づいたことを
①考え方
②やり方
③続け方
の3つに分類してアドバイスしています。
さらに食堂を経営しながら気づいた
④人が心を動かす瞬間
⑤注目を集めた時に気をつけたいこと
についても紹介しています。
この本「未来食堂に来てください」の基本情報
書籍名:やりたいことがある人は未来食堂に来てください
著 者:「未来食堂」店主 小林せかい
発行所:祥伝社
平成29年4月10日 初版第1刷発行
平成29年4月15日 第2刷発行
サイズ:19cm /251ページ
新しいことを始めるために必要なこと
この本はこれから何か新しいことを始めようと想っている方に向けて先に挙げた5つのステップを次の序章と7つの章で具体的に説明しています。
序 章 未来食堂とは
第1章 何かを始める前、知っておきたいこと ~考え方~
第2章 何かを始めると時、やること~アクション~
第3章 何かを始めた後、続けるために
第4章 始めたことを、伝えるために
第5章 人が心を動かす瞬間
第6章 注目を集めるということ
第7章 注目された時に気をつけること
各章では「この章で伝えたいこと」が具体的に書かれていて、とてもわかりやすくなっています。
例えば、第2章の何かを始めると時、やること~アクション~ では「この章で伝えたいこと」として、
1学習ー徹底的に既存を学ぶ
2公表ー「やる」と「見せる」は常にセット
3絵を描くー明確に絵が描ければ完成したも同然
4即断するー判断の軸を決めて決定スピードをあげる
というようにわかりやすい構成になっています。。
実体験からのアドバイスなので具体的ですぐに実践できそうなことばかりです。
この本からは”目からウロコ”の知恵を学ぶことができます。
こんな人は是非読んでみて欲しい
この本はタイトルにある通り
・新しいことを始めたいが具体的に何をしていいかわからない人。
そして
・自分に自信が持てない人
・自分はまだまだ終わっていないと想っている高齢者(?)
そんな方におすすめの作品です。
あなたの行動にブレーキをかけるのはあなたの心だけ
本を開いて最初に目に飛び込んできたのが「あなたの行動にブレーキをかけるのはあなたの心だけ」と言う言葉。
この本はどことなく若い人向けであって決して、シニアが読む本ではないと感じていましたが、この言葉で年齢に関係はないのではと思うようになりました。
60歳をとうにすぎて、今更、新しい事でもないだろうと思いがちですが、これこそがブレーキをかける心ではないかと思います。
著者は高齢者については触れていませんが、この本を読んでいるとリタイアした今だからこそ新しいことに挑戦できるのではないかと思えてきます。
この本ので一番気になったのが、第二章の ”「完成したら公表しよう」では人の心は動かない”
未来食堂では何か新しいことをやりたい人には、事業計画書を公開して私がやりたいことはこれだと宣言するように勧めています。
結果、周りの人が応援してくれると書いています。
いくら笑われても良いのです。滑稽で弱い自分の奮闘ぶりを真摯に伝える。ただそれだけで、多くの人が自分を応援してくれるファンに変わるのです。(第二章より)
ただ、これって理屈は理解できますがなかなか実行できませんよね。
世間では、「私はこうして○○を手にした」や、良くある「落ちこぼれだった僕が夢を実現するまで」といったように、結果が出てからのプロセスを公開していることがほとんどです。
まだ実現していない準備のプロセスをリアルタイムで公開するというのはありそうでないというのが現実です。
例えば、実話を基にした映画「ビリギャル」は落ちこぼれの学生が到底不可能だと思われていた慶応受験に成功する話ですが、これも成功(大学合格)してからノベライズ、映画化されています。
とにかく、やりたいことがあれば、目標や頑張りを公開する。
公開するときは覚悟が必要だということです。
ここがこの本で一番印象に残った部分です。
まとめ
この本がおすすめなのは、新しいことをするために精神論を唱えているのではないということ。
最近は、とかく根拠のない精神論に溢れたビジネス書が巷に出回っていますが、この「やりたいことがある人は未来食堂にきてください」が優れていると思うのは、精神論ではなくどうしたらやりたいことを現実にできるかを体系的に説明しているところ。
冒頭に挙げた、「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法を説明した本であるということ。
そして、夢を実現するためには、常識を疑うことが必要であり、そのためには既存の仕組みを徹底的に学ぶ必要があると言っています。
「あなたの行動にブレーキをかけるのは、あなたの心だけ」というのは、言い換えれば「世間の社会常識に従っているあなたの心が、あなたの行動を止めている」ということだ。
(巻末 特別対談 ライフネット生命保険会長 出口氏の言葉)
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