今から32年前、テレビで開高健の追悼番組を見た。
58歳で亡くなった直後に放送されたものだ。
民放での放送であったがコマーシャルなしのノーカットでの放映だった。
スポンサーはサントリー。
放送中に会社名をテロップで流すのみで本編を遮る映像は全く無かった。
そのことがとても印象深かったこともあり長い年月がたった今でも鮮明に記憶している。
その番組は開高健が辿ってきた人生をそれまでに放送した映像で振り返る構成だった。
開高健の言葉で知った「ランプの消えぬ間に、生を楽しめよ」
開高健がスコットランドの川で釣りを終えたシーンで言ったのが、次の言葉だった。
やりたいことをやりなさい。
アルトゥール・シュニッツラー
グラスの縁に唇を付けたなら、一滴残らず飲み干しなさい。
総じて人生は短い。
だから、ランプの消えぬ間に生を楽しみなさい。
Do what you want.
If you put your lips on the edge of the glass, drink up a drop.
Overall life is short.
So enjoy life while the lamps don’t disappear.
Artur Schnitzler
この言葉は深い。
自分は今までやりたいことをやってきただろうか?
41年という途方もなく長い時間を会社員としてやってきたが、満足いく仕事ができていただろうか?
自問してしまう。
決して、仕事は嫌いではなかった。
希望した分野ではなかったが、自分が望んでいた設計、開発の仕事をリタイアするまですることができた。
ただ、リタイアした今、シュナイツアーが言う”やりたいことをやりなさい”はこれからのことだろう。
今、僕はそう思っている。
誰からも、何からも束縛されることもなく自由に自分がやりたいことができるのは、幼稚園に入る前とリタイアした今ではないかと思う。
ランプが消えるのが具体的に見えてきた今だからこそ強くそう感じる。
リタイアして黄昏ている場合ではない。
ランプが消える前に動き出そう。