これは僕が会社に最後に出勤したときの話である。
最後の終わり方の参考になればと思い記事にしたものである。
少し前、早期退職した元の同僚と会った。
彼の最終勤務日を終えた夕方に近くのカフェで待ち合わせた。
約束の時間から少し遅れて彼はやってきた。
「みんなにつかまってしまって少し遅くなりました」と言いながら僕が座る席へとやってきた。
まあ最終日だからそうなるだろう。
「花束はもらった?」「挨拶はしたんだよね?どんなことを言った?」などと他愛もない質問をしているうちに、2020年8月の僕が現役最後の日と決めた時のことを思い出した。
現役最後の日
決めたというのは、僕の嘱託の契約期間が終わるのがその月の末日だったのだが、少し早く有給休暇を使って25日を最終日とすることにした。
理由は25日は給料日で社内の慣例でその日は残業をしない一斉退社日と決められていたからだ。
そうすることで、部署のメンバーが帰った後に退社することでお見送りはなくなると考えた。
映画「終わった人」で最終日に職場のメンバー全員が玄関でお見送り、当の本人の姿が見えなくなると、面倒臭そうに職場に戻っていく元同僚たち。
「またいつでも遊びにきてくださいね」「〇〇さんが作ったマニュアル、大切に使わせていただきますね」とお愛想だけの言葉、そんな情景が目に浮かんだのだ。
そして25日を最終出社日に決めたことは当日の朝まで部署内には知らせないでいた。
事前予告では部署内での何らかのセレモニーを用意されるのではないかと思ったのと、逆に何もなかったら寂しい(こっちの方が本音かもしれない)と思ったからだ。
それ以上に、後輩たちが忙しそうにしている中、自分一人が去って行くのも何か寂しさを感じたためだ。
そうすることが唯一僕の勝手な抵抗だったような気がする。
結局、定時終了少し前に簡単な挨拶をして最後とすることができた。
思惑通り、後輩たちが帰った後に退社することができ、見送りのない最終日とすることができた。
注)実際には、夕方には部署以外人も集まってくれ、急な告知にもかかわらずプレゼントも頂いた。頭が下がります。
退職日と最終出社日は同じではない。
有給休暇や代休を使うと実際の退職日よりも最終出社日を早めることができる。
ただ、どんなに早く最終出社日を設定しても退職日は変わらない。多くの企業が習慣で退職日を月末としているが、実際は労働者に退職日を決める権利がある。
退職日を月末の1日前にした方が給与支給額が増えるという情報がある。
確かに社会保険料が引かれない分だけその月の給与は増えるが、退職後は会社が半分負担してくれていた翌月の保険料が全額個人負担になることを忘れないでほしい。その意味では月末を退職日にするのは正しい選択だと思う。
帰宅後
帰宅後、妻にそのことを伝えると
「何かっこつけてんのよ、それより早く夕ご飯作ってよ」の言葉が返ってきた。
三つ指ついて「長い間お疲れ様でした」は妄想でしかなかった。
そしてその日から、僕の現実の生活が始まった。