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「100円のコーラを1000円で売る方法」!読めばわかるタイトルの意味

  • 2022年9月22日
  • 2023年1月31日
  • 雨読

 

100円のコーラを1000円で売る方法」は部屋の書棚を眺めていて改めて読んでみようと思った本です。


購入当初「このタイトル、なんとなく胡散臭いな」と思いながら手に取った本です。

詐欺の指南書かと思えるタイトル。


今ならヤクルト1000をヤフオクで数倍の値段で販売する方法なんてタイトルもありそうですが・・・

(実際にはダメですよ、食品ですから正規ルートで購入してください)。

とはいえ読み始めたら止まりません。

数年前にすでに読んでいるはずなのに新鮮に読むことができました。

マーケティングの基本が物語形式で作られているので、難しい横文字も抵抗なく頭に入ってきます。

残念ながら僕はリタイアして会社のビジネスには全く縁がなくなってしまいましたが、普段の生活でも役に立ちそうです。

100円のコーラを・・・」はマーケティングの手法をわかりやすく説明した本


この本は物語を通してマーケティングの基本を解説しています。

表紙の副題にはマーケティングがわかる10の物語 MARKETING STORY と書かれています。


例えば、”顧客満足のメカニズム”の章では

社内勉強会の場で主人公の久美がプレゼンした ”お客様の要望を全て網羅した企画案” に対して勉強会の主催者である与田が言った言葉・・・ 

「お客さんのことを何も考えずに企画した商品は間違いなく売れません」

顧客満足のメカニズムは 顧客の要望に100%応えても0点 だということを物語の中で語っています。

物語では主人公の久美(駒沢商会)が帝国建設への提案で競合のバリューマックス社に入札で敗れています。

その原因が顧客満足でした。

帝国建設の要望を100%応えた久美の提案が顧客満足度0であったのに対し、顧客(帝国建設)が思いもよらない提案をしたバリューマックス社の顧客満足度は100

明らかに競合(バリューマックス社)の勝ちだということを、顧客満足度を表す数式で表現しています。

顧客が感じた価値ー事前期待値=顧客満足

こうした事例を使って物語の中で、マーケチィングのイロハを解説しています。

図は「100円のコーラを・・・」本文P65から抜粋。

 

100円のコーラを・・・」を読むとマーケティング用語が理解できるようになります。


上記のような顧客満足に関するエピソードを含め全部で10個のマーケティング理論を物語でわかりやすく解説しています。

①事業の定義
②顧客絶対主義の落とし穴
③顧客満足のメカニズム
④マーケットチャレンジャーとマーケットリーダーの戦略
⑤バリュープロポーションとブルーオーシャン戦略
⑥競争優位に立つためのポジショニング
⑦チャネル戦略とWin-Winの実現
⑧ 値引きの怖さとバリューセリング
⑨コミュニケーションの戦略的一貫性
⑩イノベータ理論とキャズム理論

              以上「100円のコーラを・・・」目次より抜粋

物語による描写の工夫から、この本は読み始めたらやめられなくなります。

最初、タイトルがちょっとミーハーな感じで購入を躊躇しましたが、中身はちゃんとしています。

というか、物語の中にきちんとポイントを抑えています。

この本を読んでから専門書を読めば理解度がグッとあがること請け合いです。

この本「100円のコーラを1000円で売る方法」の基本情報

書籍名:100円のコーラを1000円で売る方法
著 者:永井考尚
発行所:KADOKAWA/中経出版
2011年11月28日 初版第1刷発行
サイズ:B6判/221ページ

 

100円のコーラを・・・」がオススメの人


この本は企画職、営業職はもちろんのこと全てのビジネスパーソンにおすすめします。

ビジネスに関わる人は最低限知っておくべき内容が書かれています。

また、単なる読み物としても十分なエンターテイメント性があるので、すでにビジネスを離れたリタイアした人や、これから社会に出て行く学生にとっても価値のある本ではないかと思います。

難しい用語を羅列した専門書ではなく物語から専門用語の意味を理解することができます。

気楽に読むかとができます。

 

100円のコーラを・・・」を読んで思ったこと


この本を読んで最初に思ったのは

きっとこの本はゴールがベストセラーになったのがきっかけではないかということ。

初版の年月もゴールの日本出版以降であることもこの予想を裏ずけているように思います。

そのなこともあり、当初は物語手法を真似た模倣作品かなと思いましたが、中身はちゃんとしているなというのが読んでみた印象です。


著者紹介の欄を見ると、その理由がわかります。

著者の長井孝尚氏の経歴は実際に職務でマーケティングを担当しており、理論だけでなく実践での経験を積まれています。

その経験が本書の随所に現れているのだと思います。


物語を読み進めていくうちに自身の仕事に置き換えていることに気づきます。

僕の場合はすでに、離職しているので直接は関係ないのですが、前職を思い出しました。


現実にはなかなかできませんでしたが、結局は著者が言いたかった次の言葉に尽きるのではないでしょうか。

顧客中心主義とは「顧客に振り回される」ということではなく、「顧客の課題に対して、自社ならではの価値を徹底的に考え、提供する」ということなのです。(本書、あとがきより)

 

100円のコーラを・・・」も出ています

本作の続編も出ています。

主人公の久美がこれからどうなっていくのか気になる方はぜひ読んでみてください。

答えが書いてあります。

 

続編のテーマは「競争戦略」。
背景にあるのは「成功体験からの脱却」

それを実現するための3つの方策を物語の中で説明しています。

>網羅思考から、仮説思考・論点思考へのシフト
>すべてやる思考から、「やらないこと」をあえて決断する思考へのシフト
>成功体験にこだわる同質集団から、成功体験にとらわれない多様な集団へのシフト

           100円のコーラを1000円で売る方法❷ のあとがきを参考にした。

また、表紙めくった後のページには次の言葉が書かれています。

戦略の本質とは、何をやらないかという選択である(マイケル・E・ポーター)

 

まとめ


ストーリー仕立てのハウツー本は一時、非常に流行りました。

この本もそのうちのひとつかな、とも思いましたが、読んで損はない本だと思います。

ストーリー中に出て来る用語は、「そんなこと常識じゃん」と思うと同時に、なるほどそんな手法もあるのかと新しい発見をさせてくれる秀作です。

 

そして、この本の一番の主張は表紙をめくった最初のぺージに書かれています。


企業の目的は、顧客の創造である    P・F・ドラッカー

 

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