注意)一部ネタバレがあります、ご注意ください。
「人生100年時代」ってなんだ!?
バカはまだ増殖しているのか?
世の中の定年本の息の根は止まっていなかった?
この本は前作の「定年バカ」の続編。
そんなこと「続」が付いているんだから誰でもわかるわ!って言わないでください。
著者が前作で世の中の定年本の息の根が止まったかなと思ったのに、まだまだバカが増殖していることがわかったので2年のブランクの末、我慢できずに書いたと語っています。
だから続なんです。
救いようのない定年本を駆逐できたかと思ったのに、今度は人生100年時代が登場。
ついこの間まで終活就活と騒いでいたのにいつの間に寿命が二十年も伸びたんだ。
とは著者の言葉。
とにかく、この本、前作にも増してパワーアップしていて全力で最近の定年本をこき下ろしています。
「続・定年バカ」は人生100年時代で増殖したバカをぶった切っています。
この続編は「人生100年時代」の登場に正面から宣戦布告した本です。
著者の瀬古浩爾さんの毒舌全開です。
”人生100年時代でバカ増殖!「充実した第二の人生を送らなきゃという病」の欺瞞を暴く!”(「続・定年バカ」の帯より)
とあるように、前作で一刀両断したはずの定年本が未だ絶滅しておらず、さらに新たなトークとともに勢いを増していることに完全に抵抗した本。
「続・定年バカ」を読むと「充実した第二の人生を送る」って病気だということがよくわかります。
著者は他の定年本だけでなく、世の中の人生100年時代に便乗した商売の胡散臭さを指摘し、非常識極まりないと徹底して批評しています。
人生100年って みんなが100歳まで生きられるようになったんか~い!
世の中で色々な人が「充実した第二の人生だ」「ライフシフト」だとかいう言葉を使って定年した人達を不安にさせている。
そんなことには決して騙されてはいけないと、数々の商売の仕組みや定年本についてコメントしているのがこの本なのです。
新しく登場してきた7つのバカ
この本の中では前作に引き続き、世の中にはびこるバカを7つに分類しています。
❷「すぐ死ぬんだから」のバカ
❸「老後あと2000万円必要」のバカ
❹「おひとりさま」の勘違いバカ
❺「(裕福な)あんたはいいよ」というバカ
❻「自分がそうだから」といっているだけのバカ
❼「死ぬまでいってろ」のバカがそれだ (本書より)
「続・定年バカ」がオススメの人
前作で、著者の歯切れの良い批評を読んで、気持ちがスッとした人。
思いっきり心から笑いたいと思っている人。
確かに最近「人生100年」のフレーズをよく聞くけど何故?と不思議に思っている人。
そんな人にぴったりなのがこの本です。
前作でも笑いを誘う部分が多くあったが、続編ではさらに笑いがスケールアップ。「そう思っていても普通は言わないよなあ」という場面が多々あります。
声をあげて笑ってしまうこと請け合い。
単に、笑いたいだけの人にもオススメの本です。
「続・定年バカ」がオススメじゃない人
実のあるアドバイスが欲しいと思っている方には前作で主張していた「自分の好きにすればいい」を理解するだけで十分かと思のですが・・・。
「続・・・」はその考えをさらに裏付けるエビデンスを集めている本です。
「続・定年バカ」を読んで思ったこと
前作を読んだ時、この著者、ちょっと過激じゃないのかと思ったが、言っていることは実に正しいと思いました。
実際の定年本の内容を徹底的に批判しているので、当の「定年本の著者」からクレームが来なかったのかと心配してたが、今度の続編はそれ以上。
まず、前作では「定年本の著者」のことを敬称で呼んでいたのが今回は完全に呼び捨て、まあ読者の方は過激で面白いと思ったのだが、今度こそクレームの嵐ではないかと余計なお世話だが心配になりました。
当の本人は、そうなったとしても動じないだろうとは思いますが・・・。
今回の作品を読んでいて感じたのは、瀬古さんの批評のテンポが前作にも増していいすごくいい。読んでいて、「そうだそうだ」「よくぞいってくれた」「そこまでいって大丈夫?」の連続。
例えば、野口雄志氏(この人には敬称の「氏」をつけている)に対するコメントの一部を次に紹介します、テンポの良さに拍手です。太字は瀬古さんのコメント。
野口氏は仕事以外にも毎年新しいことに挑戦していて自慢気である。(中略)今現在、「自分で言うのも何となくおかしいのですが、キラキラ輝いている自分がいます。(中略)とにかく楽しくてしょうがない」。
もうバカじゃないかと思う。日々の過ごし方も、ウォーキング、庭の手入れ、買い物、月に二、三回のゴルフ・・・(中略)55歳にはまだ時間がある方でも休日の時間の改革をお勧めします」。
勧めるんじゃない。家族は「仕事や会社より大事にしてほしい」。
うん、それはいいことだ。夫婦同士敬い、挨拶は欠かさず、「ありがとう」は頻繁にいう。
知らんがな。「夫婦二人の生活になった時に最高のパートナーとして定年後の黄金期をお互いに楽しんでいくためのベースになります」。
やかましいわ。「長い人生でやってくる色々な出来事に遭遇しても、『これこそが自分が輝いて生きている時』と考えることで、毎日が充実し自分自身を幸せにします」。
ちょっとなにをいってるのかわかんない。「続定年バカ」から抜粋
とにかく主張している内容は前作と同じく「自分の好きにすれば良い」で変わってはいません。
この本の最終章、この「クソみたいな世界」のなかで
その時初めて「定年後」になるのだ。
どんなときでも私たちは、今日一日を一日ずつ生きることしかできない”
(本文より抜粋)。
と語り、数々の批判と異なり、しおらしく真理を語っている。
この著者、瀬古浩爾氏、口は悪いが、いい人なのかもしれない。
ついでに、忙しくて読んでいる暇がないと言う方は本書の121ページから始まる 大笑い「妻のトリセツ」 だけでも読んだらどうだろうか。
面白いですよ。
そこだけでも、この本読んだ価値あり と思えますよ。
まとめ
この本は前作「定年バカ」での主張「定年後は自分の好きにすればよい」を引き継いでいて、新たな敵「人生100年時代」を迎え撃った作品。
前作を気に入った方ならば、大いに読む価値ありだと断言できます。
前作で、この批判はちょっと甘いなと思っていた読者も、今回の「続・・・」を読むことで胸につかえていたものが気持ちよく取れると思います。
それ以上に、前作にも増して著者のコメントがテンポよく、とにかく面白いです、はい。