この本の著者、鈴木雄介氏が専門外の心療内科クリニックを開業した理由となった考え。それが、冒頭の「はじめに」に書かれていました。
『ふだん、普通に生活をしているように見えていても、心の奥に深刻な生きづらさを抱えながら、それを隠してギリギリで生きている人が相当数いるのだろうと強く感じています。』
そして、僕がこの本に惹かれたのは、新聞広告の見出しにあったこの本のタイトル「我慢して生きるほど人生は長くない」でした。
さらに、次の文章は、なるほどそうだと目から鱗が出たよな気持ちになりました。
「あなたを大切にしない人を、あなたが大切にする必要はない」
出展:新聞広告より
すでに65歳を過ぎて、残りの人生が具体的に見えてきた今、これらの言葉は強烈なインパクトで目に飛び込んできました。
定年後の生活を描いた指南書的な書籍が続々と出版されていますが、この本はちょっと違うなと思い、すぐにネットで注文、手に入れました。
人生の最終目標であり、人生そのものだった会社員生活から離れた今、この本には、「そういうことだったんだ」と思える内容が随所に紹介されています。
この本は、今現在、現役の方にとってのバイブルになるのでは、というのが読後の感想です。
著者が紹介しているトラブルを経験して実感できる今だからこそ、現役世代に勧めたい一冊です。
これは「今のモヤモヤをどうしたら解消できるのか」について書かれた本である。
この本の著者、鈴木雄介氏は都内で心療内科のクリニックを経営している医師です。
身近な人の自死をきっかっけに始めたメンタルヘルスの支援活動を進めるうちに、生きづらさを抱える人が大勢いることに気づきました。この仕事がライフワークになったと、本の中で語っています。
氏がもっとも大切だとしているのは「自己肯定」すること。つまり、自分の物語を紡ぐことだと言っています。
これを実現するための方法を
「他人の価値観やルール」、「他人の感情」、「他人に奪われる時間」を手放し、
「自分の価値観やルール」、「自分の感情」、「自分の時間」を発見して取り戻す方法だと説明しています。
全てが著者自身の活動やクリニックでの経験によるものなので、内容はとても具体的です。
この本を読むと『あーそんなこともあったな』『なぜ、あの時そうしなかったのか』という後悔も蘇ってきますが、まだまだ、これからの生き方の参考になります。
具体的には次の5つのサブテーマで自分の物語を紡ぐ方法について触れています。
・我慢していきていくための公平で安心な人間関係の作り方
・会社や社会に疲れてしまった人への処方箋
・思いこみを捨て、自分らしい人生を取り戻す
・誰にも振り回されず、自己肯定感を保つには
・「心地よくない」「楽しくない」と感じたものは捨てていく
自分の人生を決めるのも、評価するのも自分、それに早く気づくべきである
この本では、他人に左右されずに自己を肯定して正しく生きることが重要だと、繰り返し説明しています。
他人の評価を気にしていたことが随分あったな、と今は反省しきりです。
それにしても、この本のタイトルは見事です。短い人生、あまりに他人に気を使うのは勿体無い。
この本は今の時代を生きづらいと感じている方にオススメです
この本は
今の自分の存在に疑問を感じている方。
会社で、嫌な上司、同僚が原因で、ストレスを感じている方。
自分に自信が持てず、どうしていいかわからないと思っている方。
そんな人にオススメの一冊です。
すべてとは言いませんが、どこかにこれからの人生を送るヒントが書かれていると思います。
今現在、現役の方、すでに会社や仕事から離れてリタイアした方、仕事はしていなくても、日々の生活に疲れてしまった方に、お勧めの本です。
他人の反応を期待するから生きづらくなる
他人との関係を切ることが、生きやすさの基本ではないでしょうか。
この本を読むと、そう思えてきます。
ただし、他人との関係をすべて切るのではなく、相手に対して大切にしてきたのに、相手が自分を大切にしてくれないときは、関係を切っていいのだと思います。
問題は万人に対して良い顔をしようとしてきたことです。
新聞広告で心に深く刺さった言葉とは逆に、自分のことを大切にしてくれる人にはやはり大切にする必要があります。
そのうえで自分の好きなこと、自分がしたいことをきちんと見極めて自分の物語を作ることがどんなに大切なことか、この本を読むとよくわかります。
他人の反応は良かったらラッキー、なんの反応がなくても気にしない。
悪意のある反応なら、なおのこと無視しましょう。
これが重要なことなんでしょうね。
まとめ
著者は、他人との関わりをラインオーバーという言葉を使って説明しています。
この言葉は他人とお関わりを考えるときの基準になります。
ラインを超えて入ってきた他人は無視しましょう。
そんな他人のことを気にしているほど、人生は長くありません。この本を読み終わると、気持ちがスッキリします。
読後に時間が経てば、また元に戻ってしまうようにも思いますが、一つだけそれを予防できるのは ”「自分の物語」を作ること”。
著者は「まえがき」を次の文章で締めくくっています。
『みなさんが自分のルールに基づき、自分の物語を紡いでいってくださることを、私は心から願っています。』
一度きりの人生、他人のノイズは消していきたいものです。