限界利益 って変な言葉だと思いませんか?
僕はこの言葉を初めて聞いたとき、会社の経理担当者が勝手に作った言葉かと思いました。
もちろん、利益という言葉は知っていましたが、利益にも限界利益、営業利益、経常利益、純利益があり、それぞれが独自の意味を持つことを正しく理解していませんでした。
会社員でいるならば利益の違いくらいは知っておくべきかなと思います。
この記事では、限界利益とその他3つの利益について解説します。
経理部主催の会議で初めて聞いた「崖っぷちの利益」
経理部主催の会議は、事業の収益が悪化したときに当時の事業部長が社員と危機感を共有することを目的に開いた会議でした。
経理の担当者が今の事業は限界利益がかろうじて確保できている状況、いわば「崖っぷちの利益だ」と説明していました。
まあ、当時は事業部の業績が良くないのは何となくわかっていましたが、
崖っぷちの利益ってなに?、
限界利益って何?
ってな具合でした。
他の記事でも書きましたが、所属の事業が不調でも他の好調な部門に支えられて会社全体の連結収支は黒字だったので、社員は給料の心配はあまりしていませんでしたから。
事業部長もそこを案じたのでしょう。
社員に危機感を植え付けて業績回復することで上からの叱責を避けたかったのだと思います。
最低限知っておくべき4つの利益
さて、限界利益をはじめ利益には主に4つの利益があります。
厳密には粗利益や税引き前当期利益などもありますが、今現役の皆さんは最低限、以下に示す4つの利益の違いくらいは知っておいいた方がいいと思いますよ。
「そんなことは言われなくても知ってるよ!」
という方以外は次を一読してみてください。
限界利益
この言葉、今だに違和感たっぷりなのですが、当時は特に「限界って何?」でした。
元々のは英語のMarginal Profit(マージナル・プロフィット)が語源の様ですが誰が翻訳したのかマージンは利ざや、手数料の他に余白、欄外、へり、端の意味があることから、端を限界と言い換えて利益の頭にくっつけたのでしょう。
誰か別の言葉に変えてくれないだろうか。
あとから調べたところ、限界利益の限界は「限界」でも「ギリギリの」という意味ではなく会計用語がベースになっていると説明されていましたが、何が何やらわかりません。いずれにしても英語のlimitの意味ではないことだけはわかりました。
そうすると当時の経理部員が限界利益を「崖っぷちの利益」と言っていたのは誤りだったということになるかな? まあ事業成績は崖っぷちだったことには変わりはないですが・・・
名前はさておきこの限界利益は売上高から 変動費 を差し引いた数字。
一見粗利に似ている様に思いますが粗利が売上から 変動費 と 固定費 を除いているのに対し限界利益は固定費を含んでいるということです。
つまり固定費以上の数字が出て初めて利益が確保できるということになります。
うん?まだよくわからない。
限界利益をテーマにした本もたくさん出ているので自分で勉強してください。
<参考>
日刊工業新聞社 刊 「見える化でわかる 限界利益と付加価値」
売上高ー原価=売上高ー(変動費+固定費)=粗利益
売上高ー変動費=粗利益+固定費=限界利益
いずれにしても、英語のMarginal Profitの方がマージン(利ざや)の利益だという意味で腑に落ちそうですね。
あー誰だ!変な翻訳したのは・・・
営業利益
この言葉は文字通りでイメージしやすいですね。
営業の結果得られた本業で稼いだ利益のことです。
売上高から売れた分の商品にかかったコストである売上原価とこれ以外で営業活動に伴い発生するコスト(販売費、一般管理費)を除いたものが営業利益です。
ここで注意しなければならないのが、本業の利益ということです。
会社の定款で示された商品やサービス以外で売上が発生した場合は売上高ではなく営業外収益としてカウントされます。
営業利益は純粋に会社の本業(定款で定めた事業)の成績を表しています。
経常利益
この利益は本業で稼いだ営業利益に本業以外の「営業外収益」を加算し、更に「営業外費用」を差し引いたものです。
この数字は会社の実力を表したものであり実情を反映したものになっています。
例えば、営業利益が3000万円であっても有価証券の売却損やリコールの費用がかさんで営業外費用が3000万円を超えた場合、経常利益はマイナスになります。
その結果、その会社は営業は順調でも不安要因があるな、と市場から判断されます。
純利益
これは、まっさらの利益のことです。
会計上は当期純利益で表現されます。
経常利益に特別利益を加え特別損失を除いた「税引き前当期純利益」から税金を引いた利益です。
つまり、税金の影響を加味した会社の最終的な成績ということができますね。
まとめ
利益には色々な種類があることがわかったと思いますが、それぞれ企業の状態を知るための指標として使うことができます。
¥限界利益は
名前はさておき、会社が儲かっているかいないかを判断する指標です。
これを使って損益分岐点分析(記事内では説明は省略しましたが)を行っていくら売上げれば利益を確保することができるかを知ことができます。
事業の良し悪しを判断する際の重要な判断材料になります。
¥営業利益は
事業そのものが順調かどうかを知る指標になります。
私見ですが、これが本来の利益であり、自分たちが仕事で頑張った証であるように思います。
¥経常利益は
会社の経営成績を判断するために使われます。
この数値は賞与を算出する際の指標になっているので、従業員には関心の高い数値です。
ただ、この利益には資金調達などの財務関係も含まれてしまう(営業外費用のマイナスで数値が低くなる)ので、今季は頑張ったのに賞与に反映されないなと従業員の納得感が低くなる可能性があります。
¥純利益は
名称の通り企業の最終的な儲けを表しているので、会社の最終的な成績だといえます。
そして株主が最も注目しているのがこの純利益で、その年に稼いだ純粋な利益、「当期純利益」として表されます。
この利益をもとに株主への配当や内部留保が行われます。
このように利益には色々な種類があります。
会社員を続けていくのなら最低限、これらの違いは理解しておいた方が良いと思いますね。
僕個人としては限界利益と営業利益が最も重要な指標ではないかと思います。
事業が正しく行われていて本業でいくら稼げるかがとても重要だと思うからです。
ただ、しつこいですが「限界利益」の呼び名はどう考えてもしっくりきません、いつか変更になる日が来るのを願っています。
すでに僕は事業の世界からは離れているので関係はないのですが・・・。
今、僕の最大の関心事は「リタイア後の崖っぷちの家計」なので。