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【レビュー】スペイン巡礼の道!サンティアゴ巡礼を描いた3冊の旅行記

  • 2021年9月9日
  • 2023年1月10日
  • 雨読

ここに3冊の本がある。

全ての本のタイトルにあるのは「サンティアゴ巡礼・・」。

これらの本はスペインにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラに至る巡礼路を歩いた旅の記録である。

一冊は巡礼のガイドブック的内容だが、残りの2冊はここを訪れる動機と、旅での出来事を綴っている。

僕がなぜこれらの本を書い求めたのか、理由はズバリ、以前から退職して時間が自由になったらこの巡礼路を歩きたいと思っていたからだ。

この巡礼路はもっとも人気の高い「フランス人の道」を選んだ場合、スタートからゴールまで約35日から40日が必要になる。

こんな長い期間旅に出られるのは退職後をおいて他にない、さらに自分の足で800Kmの巡礼路を歩くにはそれなりの体力が必要であり、退職直後の年齢であればどうにか可能だと考えたからだ。

しかし残念なことに退職とほぼ同時に世界は新型コロナで混迷を極め、この巡礼も果たせぬ夢となってしまった。

いずれコロナが解消し元の世界に戻ったとしてもその時に体力が残っているか、心配なところである。

聖地サンティアゴ

巡礼の目的地サンティアゴはユダヤ王、ヘロデ・アグリッパ1世により殺された聖ヤコブの遺体が発見された場所。

19世紀初頭まで聖ヤコブの遺体は行方不明だったが、9世紀初頭に星に導かれた修道士がヤコブの遺骨と墓を発見したという。

その場がサンティアゴ・デ・コンポステーラでありそこに聖ヤコブを祀るために作られたのがサンティアゴ大聖堂。

巡礼者は皆、この大聖堂を目指して徒歩の旅をする(自転車を使っての移動もある)。


レオナルドダビンチの「最後の晩餐」でイエスの右側、指を突き立てているトマスの前に座っているのが一番弟子の聖ヤコブ

巡礼の歴史

サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の歴史は951年が最古のものだそうだ。

それまでキリスト教徒の巡礼はエルサレムを目指すことが多かったが戦乱等の影響でエルサレム巡礼が難かしくなり聖遺物崇拝の影響もありサンティアゴ大聖堂への巡礼が増えていったという。

1993年には巡礼路が「道」として世界遺産に登録されてたことも人気の理由のようだ。

信仰のためというよりも、現在はそれぞれの人が自分を見つめ直すきっかけとして歩く人も多いらしい。期間が長いだけにやはり仕事をリタイアした人が多いのだという。

世界中、皆さん考えることは同じようだ。

巡礼ルート

サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路は紹介している本「スペイン サンティアゴ巡礼の道」で紹介されている「フランス人の道」のほか、主だったものだけでも「北の道」、「イギリス人の道」、「銀の道」、「ポルトガルの道」がある。

それぞれ出発地は異なるが目指すのは全てサンティアゴ大聖堂だ。

ただ僕が行くとするならば、やはりフランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーを出発してピレネー山脈を超えて行く「フランス人の道」を選びたい。

旅の途中は巡礼者専用の宿泊施設「アルベルゲ」を利用し世界中の巡礼者とも交流を深める。

そして巡礼の途中、途中で訪れる街で美味しい料理とワインを楽しむ。

道のりは長いが、ゴールに着いた時の達成感はどれほどのものか、妄想するだけで心が震えてくる。

ただ、コロナが収束して巡礼路が再開するのがいつになるのか、それ次第だと思うが。

実行する時の僕の年齢にもよると思うが、足腰だけは鍛えておこうと思う。

一方で、バスや電車を使って地元のグルメや観光しながら、最後の100Kmだけを歩いて巡礼を達成するという方法もあるという。

最悪? 美食の街、サンセバスチャンを通る「北の道」を選択するといのも選択肢として残しておきたい(多分、こっちになりそう)。

ちなみに徒歩の場合、100Kmを歩いてサンティアゴ・デ・コンポステーラに到達すれば巡礼完了の証明書「コンポステーラ」がもらえるそうだ。

自転車の場合は150Km走ればいいそうだ。

うーん、800Kmと100Km、心が揺れる。

ただ、いずれにしても 現在のコロナ騒動が沈静化することを何よりも願わずにはいられない。

3冊の本

スペインサンティアゴ巡礼の道
この本はフランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーを出発点とするフランス人の道をガイド風に紹介している。

巡礼知識のあれこれとして巡礼をするために必要な情報をまとめて紹介している、特に具体的な巡礼プランの立て方までも丁寧に説明している良書である。

発行:実業之日本社   高森玲子・編著 井島健至・写真

おじさんパッカーのスペインサンティアゴ巡礼の旅    
定年退職した著者がサンティアゴまで210Km手前のポンフェンラーダからゴールを目指す間の出来事を旅行記としてまとめたもの。

著者はやはり定年退職を機に新たな人生を設計するための考えるための旅と考えて実行したという。
副題には空につづくカミーノ おじさんパッカーのとついている。

僕の想いに近い内容だ。

発行:幻冬舎  福井昌弘 著

サンティアゴ巡礼の道
この本は、3人の著者がそれぞれ巡礼路について解説している。

特に女優の壇ふみさんが交通機関を使ってはいるがサンティアゴから逆のルートでサン・ジャン・ピエ・ド・ポーまでを取材した記録はとっておきのトピックスも含め参考になりそうだ。

発行:新潮社  壇ふみ、池田宗弘、五十嵐見鳥、ほか 著