仕事を進めていく上で、手段と目的がいつの間にか入れ替わってしまった経験はありませんか。
さらに問題なのは、入れ替わっていることに当事者が気づかないということです。
この記事では手段と目的が入れ替わった事例を3つ紹介します。
この事例から目的が明確でない場合にこの現象がおきます。
改善策は目的を明確にして置くこと、この方法以外にありません。
目的と手段が入れ替わった3つの例
ある目的を達成するためにはそれに合った手段を用いなければなりません。
ところが、いつの間にか手段であったはずが目的になってしまいます。
そうなると当初の目的達成は不可能になります。
それどころか、何のための活動だっかのかも、わからなくなってしまいます。
そんなことにならないようにするには、目的と手段を最初から明確にすることです。
多くの場合、活動の開始時点で目的と手段が曖昧な場合があります。
活動中に、自然に目的を忘れ、安易に結果が得られる手段に流れがちになります。
上層部から圧力がかかっているときは尚更この傾向が強くなります。
何としても、数字を出したくなるものです。
目的を明確にしておくとすり替えをしずらくなります。
目的の進捗をあらかじめKPIとして設定しておくのが効果的です。
僕が経験したすり替わりの例を3つ紹介します。
①ペーパーレスではなく用紙の新規購入量を減らす?
②生産ラインを変えれば特注製品の構成比が変わる?
③業務改善ではなく、コンサルの指導を受けることが重要?
目的と手段は最初から明確に
目的と手段が途中で入れ替わってしまう。
その原因は最初の段階で目的と手段が明確になっていないためです。
❶ペーパーレスではなく用紙の新規購入量を減らす?
ずっと昔、会社であまりにも紙の使用量が多かったために、なんとかしないといけない、業務を見直してペーパーレスにできないかと考えました。
社内から何人かのメンバーを選抜して、プロジェクトチームを作りました。
そう、プロジェクトです。
今もプロジェクトブーム真っ盛りですが、当時はNHKのプロジェクトXの放送が華やかだった頃で世の管理職のみなさんが夢中で涙しながら観ていたものです。
なのでプロジェクトが乱立していました。
まるでプロジェクトのためのプロジェクトみたいなのもありました。
話を元に戻すと
そのチームが半年後にやったことが、古い書類を回収して、裏面を使用することにしたのです。
再生紙の有効活用。
プロジェクトは解散しました。
確かに、その結果、紙の新規購入量を減らすことができました。
しかし、何かが変です。
❷生産ラインを変えれば特注製品の構成比が変わる?
これも会社の改善プロジェクトの例。
特注製品。
顧客の要望に応じて製品仕様を変えて設計、生産する商品です。
手間がかかっている分、販売設定価格は高いのですが、実際は高く販売することはできません。
値引きの対象になっていました。
それが経営の足かせになっていたのです。
そこで、経営トップから特注品の比率を減らすことが指示されました。
そこで生産部長が考えたのが、特注製品を標準ラインで生産して特注比率を下げること。
生産組み立てラインは標準ラインと特注ラインの二つから構成されていました。
特注比率は全生産台数のうち特注生産ラインで製造した台数の比率で計算していました。
標準製品向けに作られた製造ラインで特注製品をつくるのですから製造担当者は苦労しました。
むしろ、生産の効率は低下しました。
結果、特注生産比率は下がりましたが収支の改善はできませんでした。
ところが生産部長は経営トップの指示に応えたと満足していました。
これって何か変です。
❸業務改善ではなく、コンサルの指導を受けることが重要?
3番目の例も、経営トップの指示で行った業務改善プロジェクトです。
ここでまた、プロジェクトが出てきますが、この名前を使うとなんだか活動してるって気になりませんか?
単なるパフォーマンスですね。
やり方は、各部門が改善テーマを選定し、その進捗と改善指南を外部コンサルタントが週1で担当するというものでした。
期間は6ヶ月。
外部コンサルタント会社はそれなりの名前の通った会社です。
コンサル料金も相当高額だったと思います。
各部門の担当者は、
「資料作らなきゃ」
「KPIの集計ができていないな」
コンサルタントのミーティングが近ずくことに戦々恐々としていました。
さて、そうこうしているうちに6ヶ月が過ぎました。
コンサル料の支出と担当者の疲労感だけが残りました。
これも、何か変です。
コンサル期間中にコンサルタントに対して僕らの間では決め台詞がありました。
「手伝ってくれなくていいから、邪魔しないでくれ!」
すり替わりはどうなりたいかがはっきりしていないから
これらは、ほんの一部の例ですが
共通して言えることは、最終目的がはっきりしていないこと、そのために目的と手段が入れ替わってしまっています。
①ペーパーレスで業務効率を改善することが目的
一番目の例は紙の購入量を減らすのが目的ではなく、紙を使わない業務システムを作ること。
というか紙をなくしてペーパーレスにすることでビジネスモデルを変革しようということです。
前提として、ペーパーレス=業務効率アップの想定がありました。
これも見方によっては違和感があるのですが、このプロジェクトの目的は業務効率の改善そのものだったです。
決して再生紙を使って紙の購入量を減らすことではありません。
部外者ながら
おもて面に一枚ずつバッテン印を手書きして再生紙を作っているメンバーを観て情けなくなったのを覚えています。
正しくは
目的:現在の業務システムを見直して、効率を○○改善する(○○ 数値目標のKPI化は必須)。
手段:ペパーレスのシステムを構築する。
ではないでしょうか。
②過度な特注対応を減らすことが目的
二番目の特注比率を下げることも
数字のお遊びをすることでもなんでもなくて、特注という経営数値に悪影響を及ぼしている要素を改善すること。
経営のプラスになるようにビジネスモデルをかえることが真の目的です。
目的:特注の課題を改善し利益貢献できるようにする
手段:受注のうち不要な特注を減らす(生産部だけの活動では無理)。
③業務効率の改善が目的
3番目のコンサルに至っては
お金を払って、社員の業務負荷を高めただけです。
コンサルタント自身も、自分の仕事は週一回ミーティングをして出された資料についてコメントすること、と割り切っていたように思います。
そんな対応では改善の実現は不可能です。
僕らの決め台詞「手伝ってくれなくていいから、邪魔しないでくれ!」ができたのも必然の結果だったように思います。
目的:社内の課題の改善
課題の特定と達成時のK PIの設定が重要。手段のための目的設定は論外。
手段:外部コンサルが持つノウハウを生かして効率的に改善を進める
まとめ 原因は曖昧な目的
今回、挙げたのは3つの事例ですが、そのほかにもこの手の話は山ほどあります。
原因は、曖昧な目的につきます。
目的を明確にして、こうなるべきだということを担当者全員が納得理解した上で
次にどう進めるべきかを決めるべきなのです。
そうでないと、そのプロジェクト(あえてそう言いますが)を完了するための大義名分のために都合のいい結論を急ぎます。
それが目的と手段がいれ替わる原因です。
手段と目的が入れ替わるのを防ぐ方法は、ずばり、目的を明確にすることです。
数値化できればさらにいいでしょう。
報告だけの作業はすぐにやめましょう。
何をどうしたいかを、最初からはっきりさせましょう。
何かを目指す時は、これができたらどうなるかを想像してください。
そのために何をすれば良いかをじっくり考えてください。
この部分を間違えると無駄な仕事が増えてしまいます。
それが、作業の負担になってしまいます。
仕事量が増えるだけでなく、メンバーのやる気を削いでしまう最悪の状態になるのは避けたいものです。
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